担当:JO(バンジョー)
去る1月23日(木)、札幌消防音楽隊主催の「119ニューイヤーコンサート2014」の市民ゲストとして La Zone が演奏させていただきました。
2千人以上を収容できる道内一のコンサートホール「KITARA(キタラ)の大ホールをほぼ埋め尽くした観客数に圧倒されながらも、本当に得難く、素敵で、あっという間の時間でした。ご来場くださいましたお客様、ありがとうございました。
「ゲスト出演しませんか?」とお声かけをいただいたのが、夏の終わり頃。「え〜!キタラで!?大ホール?ホント??どうしよう」と、まずはビックリ。プログラムの内容をお尋ねしたところ、コンサート第二部(約30分)を担当し、最後に消防音楽隊の方たちと一緒に演奏するとのこと。
札幌消防音楽隊は45年もの歴史あるブラスバンドで、楽団員の皆さんは本業(消防・救急)の傍ら、時間を作って音楽活動もこなすという「The二刀流」。その勇壮で華やかなパレードは、今や札幌の風物詩となっています。
そんなことも踏まえつつ、メンバーで相談。バルの音楽であるミュゼットをクラシックの音楽ホールで奏でるとどうなるの?それ以前に私たちで務まるの?
色々な意見が出ましたが、最終的に「古いミュゼットのSP音源の中には、ミュゼットバンドとブラスバンドが一緒に演奏している曲もある。今の時代にそれが実現できるとしたら、すごいかも!」という、そんな気持ちが優勢で、この大舞台に出演させていただくことに決めました。
さてここで問題になったのが、最後に合同で演奏する楽曲を何にしようか、ということ。従来であれば消防音楽隊のレパートリーの中から、ゲストのテイストに近いものを選んで決めるそう。
ですが、今回は私たちのミュゼットへの強いこだわりを汲んで、音楽隊がこちらのレパートリーに合わせてくださることに!楽曲の選択をこちらに任せてくれたのです。感謝感激。
そしてメンバーで検討を重ね、吹奏楽でやってみたい曲「La fée verte(緑の妖精)」(私たちのオリジナル曲)と「Paris la nuit(パリ・ラ・ニュイ)」(かつてフレエルが歌った名曲)のメドレーに決定しました。
しかし更に問題が!音楽隊の皆さんが演奏するための楽譜(バンドスコア)を、こちらで用意しなければならなかったのでした…!ええ~っ、耳コピだけでやってきた私たちには、難題過ぎて…これは締切までに準備できそうもない。…でも、待てよ、そうだ!ヨネがいる…!
そう、サポートメンバーのヨネ(クラリネット)は今回の出演メンバーの中で唯一、音楽をきちんと学んだ人なのです。彼女にそれをお願いすると「わかりました、できる限りやってみます」と快諾。わ~ん、ありがとう!
その日からヨネは、管楽器の調性や音域の違いを調べ、私たちが演奏している音やSP音源から聞こえてくる音を各パートに当てはめ、MIDIでイメージ音源を作り、バンドスコアを書き、それを持参して音楽隊の菅原楽長と打ち合わせをし…。まったく彼女には頭が上がりません。
さらに有難かったのは、菅原楽長がとても親切にヨネにアドバイスをくださり、吹奏楽として魅力あるスコアになるよう加筆してくださったこと。お忙しい中、こちらのわがままにお付き合いくださいました。
…こうして消防音楽隊用の楽譜が出来上がったのです。
本番5日前、音楽隊の皆さんと初顔合わせ、そして合同練習。想像以上に若い方が多く、元気いっぱい。一緒に音を出してみると、迫力満点!「うわぁ!すごい!“緑の妖精″をブラスバンドで聞けるなんて」と思うと同時に、大人数のいろいろな楽器の音と、私たちの音のタイミングを合わせる難しさをひしひしと感じました。これは頑張らなければ…。
本番前日、初のキタラでのリハーサル。聞きしに勝る大ホールは、パーカッションとバンジョーが甲高く響き、アコーディオンの音が届きにくい…等々、問題続出。
クラシック音楽ホールにおいて、生音でミュゼットスタイルの演奏をする難しさが身に沁みました。あとは体の向きや演奏上の工夫で乗り切るしかありません。
歌のランジャさんは、客席側から歌い出したのちステージに上がるという演出。その動線を、本番用の靴を履いて何度も確認。「転ばないようにしなくちゃね」って、本当に!
そしていよいよ当日。
音楽隊の皆さんとの最終リハーサルを終えたあと、La Zoneのみでリハーサル。演奏の確認もそこそこに、第二部オープニングの演出の確認、インタビューコーナーの段取りの確認、楽器の持ち替えに絡んだ動きの確認など、この時間に若干体力と集中力を使い果たした感が…。
リハを終え本番待ちの楽屋では、皆クタクタでした。が、気を取り直して、いつもよりずっと濃いめの化粧(変装?)をほどこして(あ、ランジャさんにとっては普通のことですね)、あっという間に第二部の開演時間が迫ってきました。緊張の中、それぞれ楽器を身に着けて舞台の袖へ。
「ラ・ゾーヌの皆さんです。それではどうぞ!!」と司会者の方の紹介が聞こえた直後、ステージへの扉がパッと開けられました。下手からボタンアコーディオンを抱えたクミさんが一人演奏しながらステージに出てゆきます。続いて上手からパーカッションのイチコ、下手から私(バンジョーのジョー)、上手からヨネのクラリネット。そして最後に、下手から踊りながら登場してピアノの前に座るナオミさんという具合に、交合にスポットライトの中へ。
痺れるくらいの緊張感でしたが、私は「ミュゼットがキタラ大ホールで鳴っている!聞いていただいている!」という喜びの方が勝っていたように思います。
クミさんのMCはいつもどおり落ち着いていました。途中、彼女がボタンアコーディオンをキャブレット(ミュゼットバグパイプ)に持ち替えるタイミングで「日本に1台しかないこの楽器を一人でやってきて、今日こんなにたくさんの皆さんに聴いてもらえて嬉しいです
と語ると、会場からドッと大きな拍手が沸きました。皆さんの温かさが伝わります。
順調に演目をこなし、いよいよ音楽隊との共演曲。指揮を見て、一生懸命音を合わせました。メドレー後半、歌姫ランジャが「パリ・ラ・ニュイを唄いながら客席から登場します。彼女の堂々たる姿に、大観衆は耳も目も心もクギ付けの様子。。。よし、いい感じ。
そしてランジャさんが最後のフレーズを歌いあげ、短い後奏。最後の拍がピシッと決まりました。
…今までに浴びたことのない喝采の中、第二部は無事終了。メンバー一同、持てる力を出し切りました…。
終演後、私たちを長らく応援してくださり、会場にお越しいただいていた方々から「緊張したよ」「何度もトイレに行った」「手に汗握っていたよ」などと、私たち以上に私たちを心配してくださったことを聞きました。本当にいつもすみません。いえ、いつもありがとうございます!
今回のコンサートは入場無料だったのですが、入場券の申し込みは事前に往復はがきを送る必要がありました。ガンゲット・ダイマのお客様の中には、10枚ものはがきを出した人も!(当選したのは1枚だったそうです。。。)
そして場所を近くのホテルに移して、お疲れ様の懇親会。消防隊員の皆さんが明るく元気でチームワークのいいことったら…!安心して暮らせる街、札幌です。
ミュゼットを演奏してくださって本当にありがとうございました!私たちの夢が一つ、叶いました。
そう、私たちも応援してくださる方々にもっと安心して聞いていただけるように、鍛錬せねば。感動冷めやらぬうちに、ぎゅっとタイトに今後の練習日程を決めた次第です。
La Zoneはこれからもコツコツと『ミュゼットおたく道』を究めてまいりますので、末永くどうぞよろしくお願いいたします!
おわり。